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業界情報

遠心分離機(遠心機)とは?仕組みや構造、おすすめの機種について解説

遠心分離機(遠心機)は液体中に固体が分散した「スラリ」を、遠心力により分離させる装置です。身近な例としては洗濯機の脱水機能が挙げられます。洗濯機は脱水の際、洗濯物に含まれる水分を遠心力によって洗濯槽の外に分離~排出させる仕組みです。

関連記事:固液分離とは?目的や方法、装置の選び方について解説

遠心分離機も原理は同じですが、はるかに高速で精密に動作し短時間で様々な物質の分離・脱水を行うことが可能です。そのため化学・医薬・食品など幅広い分野の製造プロセスで利用されています。

この記事では、遠心分離機の用途や仕組み、構造による分類などを紹介します。遠心分離機の選び方についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

遠心分離機(遠心機)は何に使う?用途を紹介

遠心分離機はその高い分離能力のため、多岐にわたる産業で利用されています。以下、主な用途を詳しく紹介します。

遠心分離機には工業用と研究(実験)用がある

研究(実験)用の遠心分離機は研究室やテストプラントに設置し小規模での処理テストや少量の製品作りに用いられます。

対して工業用遠心分離機は研究(実験)用遠心分離機からスケールアップし実生産用の遠心分離機として大容量の処理に用いられます。

化学

化学産業では各種樹脂材や、塗料・顔料、溶材、農薬、金属粉、ガラス粉末、製紙など、多岐にわたる分離のプロセスに用いられております。

化学分野での分離可能な処理物や遠心機の型式対応表についてはこちらをご覧ください。

医薬品

医薬品の製造過程では有効成分の抽出後の工程において、遠心分離機が不可欠です。また遠心分離機は、血液成分の分離や、その他漢方エキスやビタミン剤の分離のプロセスなどにも用いられています。

医薬品分野での分離可能な処理物や遠心機の型式対応表についてはこちらをご覧ください。(タナベウィルテックではGMP対応の遠心機も取り揃えております)

バイオ・発酵

一般的に乳酸菌はナノレベルで培養液に分散しています。これらの固液分離工程でも遠心分離機は利用されています。その他インフルエンザワクチン、菌体、酵母の分離プロセスなどにも用いられています。

バイオ・発酵分野での分離可能な処理物や遠心機の型式対応表についてはこちらをご覧ください。

電子材料

異物の混入が許容されない半導体や液晶ディスプレイの製造工程で遠心分離機が用いられています。

電子材料分野での分離可能な処理物や遠心機の型式対応表についてはこちらをご覧ください。

鉄鋼業

金属類の精製・脱水等のプロセスに遠心分離機が用いられています。

鉄鋼業分野での分離可能な処理物や遠心機の型式対応表についてはこちらをご覧ください。

食品

塩や砂糖、アミノ酸などの脱水、魚・鶏などから抽出した油の精製・分離工程等で遠心分離機が用いられています。

食品分野での分離可能な処理物や遠心機の型式対応表についてはこちらをご覧ください。

環境

生活排水や工場から排出される廃水・廃油の処理に遠心分離機が用いられています。

環境分野での分離可能な処理物や遠心機の型式対応表についてはこちらをご覧ください。

繊維

繊維分野では、繊維の原料となる樹脂の分離や繊維の染色や加工後の脱水に遠心分離機が用いられています。

繊維分野での分離可能な処理物や遠心機の型式対応表についてはこちらをご覧ください。

遠心分離の基本的な原理について解説

遠心分離機は名前の通り、遠心力を利用してスラリを分離する装置です。ここでは遠心分離について、遠心力の原理から解説します。

遠心分離の種類とは

遠心分離には大きく分けて、下記2つの種類があります。

  • 遠心ろ過分離

  • 遠心沈降分離

遠心ろ過分離

液体中に分散した固体を、ろ材(ろ布、金網、スクリーン等)を使用して分離する方法です。例えば、洗濯機による脱水工程がこの方式に当たります。遠心分離機では、ろ材をセットしたバスケットを高速で回転させ、発生した遠心力により固体と液体を分離します。

遠心沈降分離

液体中に分散した固体が、液体との比重差により沈降する原理を利用して分離する方法です。この方式は特に固体の粒径が小さく、ろ過分離が困難な場合に適しています

遠心分離に必要な遠心力とは

遠心力は、回転する物体が中心から放射状に働く力のことを指します。雨の日に傘を回すことで傘の骨の先端から水滴が勢いよく飛ぶことや、洗濯機の脱水時に洗濯物が壁に張り付く現象も、この遠心力によるものです。

遠心分離機では、高速で回転するバスケットを回転させることで、遠心力を生じさせます。この力によって、スラリ中の固体を効果的に分離します。

遠心分離機(遠心機)の分離工程

遠心分離機の動作は以下の工程で行われます。
下記はバスケット型遠心分離機(底部排出型)での一般的な場合です。

起動 → 給液 → 脱液 → 洗浄 → 脱水 → 制動 → 掻取

起動〜給液~脱液

起動工程では、あらかじめ設定された給液回転速度まで回転数を上げます。回転数が設定に達すると給液が開始され、スラリがろ過されるともにウェットケーキがバスケットに付着していきます。なおタナベウィルテックでは均一にウェットケーキを付着させるために、吐出口を複数にした給液パイプの製作も可能です。

給液工程終了後、脱液を行います。

洗浄〜脱水~制動~掻取

脱液工程後、必要に応じて固体の洗浄が行われます。固体の洗浄後、十分脱水したのちバスケットの回転速度を落とします。

掻取工程ではスクレーパーでバスケットに付着したケーキを掻き落とし、機外へ排出させます。

遠心分離機(遠心機)の仕組み・構造について解説

遠心分離機の性能や使用目的に応じて、さまざまな仕組みや構造が存在します。それぞれの特性や特長を理解することで、適切な遠心分離機を選ぶ手助けとなるでしょう。

遠心分離機の運転方式の違い

遠心分離機の運転方式には次の二つがあります。

  • バッチ式

  • 連続式

ここでは、それぞれの運転方式の特徴やメリット、デメリットを解説します。

関連記事:バッチ式遠心分離機とは?連続式との違いやおすすめの用途についても

バッチ式

バッチ式は一定量のスラリを一度に処理する方式です。起動~給液~脱液~排出~停止までの工程を1サイクルとして繰り返します。

バッチ式のメリットは分離時間を任意に変更できることです。これにより多少分離困難な処理物でも分離させることが可能です。バッチ式の遠心分離機は以下の動画を参考にするとわかりやすいでしょう。

連続式

連続式は大容量のスラリを連続的に処理する方式です。スラリの給液~固液分離~排出・排液を連続的に行います連続式のメリットはとしては大容量のスラリを処理できること単位機器辺りの処理能力向上が図れます。

連続式の欠点としては分離時間が短く制限されることです。分離時間の制限により分離不十分な場合、機器の適用は困難となります。連続式の遠心分離については、以下の動画を見ることでイメージがしやすくなります。

バスケット型の排出方法による違い

遠心分離機には主に3つの排出方法があります。

  • 上部排出型

  • 底部排出型

  • 吸引式

排出方法ごとの性質の違いについて解説します。

上部排出型

上部排出型は分離した固体をバスケットの上部から人手で排出する方式です。シンプルな構造でコストメリットがある点も特徴です。

底部排出型

底部排出型は分離した固体を掻取装置を用いてバスケットの底部から排出する方式です。

作業者が直接介入することなく連続した運用が行えるため、工程の自動化も可能となります。

吸引式

吸引型は、掻取装置を用いて掻き崩した固体を吸引ノズルを用いて空気輸送することで排出する方式です。1階への設置且つ自動化も可能となります。

遠心分離機(遠心機)の選び方

遠心分離機には用途に応じ異なる機能をもっております。運転方式を軸にした遠心分離機の選び方としては次のように考えることができます。

例えばろ過分離で様々なスラリを分離したい場合はバスケット型が向いており、沈降分離で大容量の分離を連続でしたい場合はデカンタ型、連続式のろ過分離をしたい場合はデ・コーン型が向いている、という見方になります。

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また遠心分離機を選ぶ際には、運転方式以外にもさまざまな要因を考慮する必要があります。遠心分離機を選ぶ際のポイントは下記の通りです。

遠心分離機ならタナベウィルテックまでお問い合わせください

この記事では、遠心分離機に関する基本的な知識と選び方について解説しました。遠心分離機は多岐にわたる産業でその高い分離能力を活かして利用されています。

ご紹介した研究(実験)用分離機から工業用遠心分離機へのスケールアップ検討のお手伝いもいたします。

遠心分離機の導入を検討している企業や研究機関の皆様に対しタナベウィルテックでは、多岐にわたる産業での実績をもとに、最適な遠心分離機選びや導入のサポートを行っています。遠心分離機選びにお悩みの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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